ご挨拶

熊本大学産業ナノマテリアル研究所 所長 伊田進太郎

熊本大学
産業ナノマテリアル
研究所
所長 伊田進太郎

本研究所は二次元ナノマテリアル研究と産学連携を強く推進させるため、学内の二次元ナノマテリアル研究者群と旧・パルスパワー科学研究所が融合して2020年4月に設置されました。二次元ナノマテリアルの応用研究は今後さらに発展すると期待されており、本研究所はナノシートや表面・粒界に関係した二次元ナノマテリアル研究をコアとして基礎から応用、さらには実用化に向けた特殊合成プロセスの研究開発等を集中して行い、基礎研究だけでなく産業イノベーションを起こす成果の創出に取り組んでいきます。研究所には、爆発実験施設やバイオエレクトリクス研究施設といった特殊合成プロセスや、二次元ナノマテリアル研究を推進させるための総合研究設備を有しており、他大学や企業の研究者にこれらの施設・設備を提供していきます。

これまでの研究活動について紹介しますと、例えば、二次元マテリアルの1つである“ナノシート”は、厚さ1nm、幅数µmの超薄膜構造を有する、究極の表面材料です。ナノシートは、①構造に由来した特有の物性、②外部刺激に対する高い応答性、③高い比表面積、④様々な機能物質と“ハイブリッド体”が形成可能(様々な機能材料の創製)、⑤容易に小型化・軽量化・薄膜化・ウェアラブル化が可能等の優れた特性を持っています。研究所の2D材料部門は“酸化グラフェン”に国内でいち早く着目し、高いプロトン伝導、電子・プロトン混合伝導等を発見するとともに、世界に先駆けて薄膜燃料電池、薄膜固体型鉛蓄電池、薄膜スーパーキャパシタを開発する等、応用展開を見据えて精力的に研究に取り組んでおり、今後はこれらの活動をさらに推進させていきます。

社会との連携につきましては、これまで研究所メンバーが中心となって25社の企業を含めた「酸化グラフェン研究会」を発足させ、年2回学会を開催する等、産学連携を強化してきました。本研究会を契機に、これまでの化学領域のみならず、物理学/バイオ/環境学領域から医歯薬学領域まで研究対象を拡張させることで異分野融合研究が推進され、多数の共同研究に繋がっております。研究所では保有する研究施設を利用した共同研究を支援するため、公募型の共同研究支援制度設けております。随時、ホームページに情報を掲載しますので、是非ご活用ください。

未来を切り開くアカデミックな研究をやられている研究者、大学、研究所、および新産業創生を目指す企業等で、上記の二次元マテリアル関連の共同研究を行いたい場合にはぜひ気楽にご相談ください。